
暗幕のゲルニカって、どのような本ですか?
タイトルからして難しそう…。

ぜひおススメの一冊です。
難しく思えるかもしれませんが、そんなことはありませんよ。
こんにちは、なおきちです。
さて今回は原田マハさん著、「暗幕のゲルニカ」をご紹介します。
結論から言うと、老若男女問わずかなりおススメの一冊。
ピカソの代表作、<ゲルニカ>について書かれたというだけあって、難しい本なのでは?
と思いきや、まったくそんなことはありません。
ちなみにわたしは美術にはほとんど興味がありませんが、とっても楽しめました!
そんな「暗幕のゲルニカ」の魅力を、本記事で最大限にお伝えします。

後半には美味しそうな料理もご紹介しますよ♪
- 原田マハ著:暗幕のゲルニカのあらすじ
- <ゲルニカ>ってどんな作品?
- わたしが印象に残った点3つ
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もくじ
あらすじ:ピカソの<ゲルニカ>を題材にした小説
美術やアートにほとんど興味のないわたしですが、さすがに
「パブロ・ピカソ」
という人物の名前は知っていました。
ですが、ピカソがどのような作品を遺したのかということについては、完全なる無知。
お恥ずかしながら、「暗幕のゲルニカ」を通じて初めて<ゲルニカ>という作品があることを知りました。

ピカソの代表作なのに…。
そもそも<ゲルニカ>ってどんな作品なの?
<ゲルニカ>は、パブロ・ピカソが1937年に制作した絵画です。
もともとは同年に開催されたパリ万博、そのスペイン館に展示する壁画として、スペイン政府から作品の制作をピカソは依頼されていました。
ピカソは最初どのような作品を制作しようか迷っていたそうですが、1937年4月、ピカソの祖国スペインのバスク地方の町「ゲルニカ」が、反乱軍の空爆により焼き尽くされてしまいます。
ゲルニカ空爆のニュースを知ったピカソは激昂。
ゲルニカ空爆を知った日、ピカソは、写真入りでそれをルポタージュした新聞を、二度までも八つ裂きにして、床に叩き付け、踏みつけた。ものも言わずに怒りをぶちまけ、それっきりアトリエにこもってしまったのだ。
出典:暗幕のゲルニカ(著:原田マハ)
そしてこの激しい怒りをぶつけるかの如く、ピカソはスペイン政府から依頼されていた作品のテーマを「ゲルニカ空爆」にしようと決めたのでした。
そのような歴史背景もあることから、<ゲルニカ>は政治的メッセージの強い作品ともされています。
物語の舞台はふたつ
さて、そんな<ゲルニカ>を題材とした「暗幕のゲルニカ」は、ふたつの舞台から構成されています。
1937年~1945年 フランス・パリ
ひとつ目の舞台は、<ゲルニカ>制作の1937年から、第二次世界大戦後1945年までのフランス・パリです。
- パブロ・ピカソ
- ドラ・マール(ピカソの愛人)
- パルド・イグナシオ
この時間軸では、主に<ゲルニカ>制作について、そして大戦中のゲルニカがどのように扱われていたのか、という内容で進められています。
<ゲルニカ>を中心としてパブロ・ピカソやその愛人ドラ・マールの心情が、原田マハさんの文章によってえぐいほどに表現されているのが見どころのひとつ。
そして架空の人物、パルド・イグナシオも物語のキーマンとして登場します。
2001年~2003年 アメリカ・ニューヨーク
もうひとつの舞台は、2001年~2003年のアメリカ・ニューヨークです。
- 八神瑤子(ニューヨーク近代美術館、MoMAのキュレーター)
- イーサン(瑤子の夫。アメリカ人)
- ルース・ロックフェラー(MoMA理事長)
MoMAの日本人キュレーター八神瑤子は、10歳の頃に<ゲルニカ>と出逢います。
それからピカソの作品に魅せられた瑤子は、ピカソの研究に没頭。
長年の功績が評価され、アジア人として初めてMoMAのキュレーターに登用されたという凄腕の女性です。
そんな瑤子は、アートコンサルタントの夫、イーサンとニューヨークのイーストヴィレッジに暮らしていました。
そこで瑤子たちに待ち受けていたのは、9.11アメリカ同時多発テロ事件。
ここから、<ゲルニカ>を中心として瑤子の身にさまざまなドラマが繰り広げられます。
このふたつの時間軸から成る「暗幕のゲルニカ」。
パリとニューヨークの話が代わる代わる登場するのですが、終盤にはふたつの物語がひとつになるかのような感動があります。
わたしが印象に残った点
そんな「暗幕のゲルニカ」ですが、一見すると難しそうな本にも思えます。
確かにヨーロッパやアメリカの歴史的、政治的なシーンは多くありますが、非常に読みやすい。
とくにピカソとドラ・マールの心情が多く描かれているため、感情移入もしやすいです。
原田マハさんの世界観にぐいぐい引き込まれて、没頭して読んでしまいました。
わたしが「暗幕のゲルニカ」を読んで印象に残った点を3つご紹介します。
- ドラ・マールの葛藤
- ヨーコ・ヤガミ、カッコいいです
- トルティージャが美味しそう
ドラ・マールの葛藤
まず一番印象的だったのが、ピカソの愛人「ドラ・マール」です。
ピカソにはオルガという奥さんがありながら、芸術家で写真家のドラ・マールとも交際しています。
さらにピカソにはマリー=テレーズという愛人もおり、マリー=テレーズとの間には娘もいるんですね。

すごい女性遍歴だったんだね…。
ピカソは<ゲルニカ>の制作過程を、写真に収めるようドラ・マールに任せます。
それまで、他の作品においては制作過程を見せることがなかったピカソ。
そんなピカソから写真に収めることを任されたことで、ドラ・マールは「喜び、戸惑い、興奮」を強く感じていたと本書では表されています。
ちなみにドラ・マールは、ピカソに奥さんがいること、マリー=テレーズという別の愛人もいるということも承知していました。
当然、ドラ・マールは「女」としての物凄い嫉妬と葛藤があったわけです。
“自分はピカソの妻でなければ、ピカソの子供の母親でもない”と。
本書ではドラ・マールとマリー=テレーズ、二人の愛人がピカソを巡って修羅場を繰り広げるシーンも描かれています。
女の意地やプライドがぶつかり合うさま、苦しい胸の内が生々しく表現されており、読んでいてなんだか切ない気持ちになりました。

女性の嫉妬や葛藤…。苦しいよね。
ヨーコ・ヤガミ、カッコいいです
2001年~2003年・ニューヨークでの主人公はMoMAの日本人キュレーター、八神瑤子(ヨーコ・ヤガミ)です。
フィクションの人物ですが、このヨーコ・ヤガミ、凄い経歴の持ち主なんですね。
- 父親の仕事の関係で、幼少期から7年間をニューヨークで過ごす。
- 一旦日本に戻るが、大学進学を機に再びアメリカへ。
- ニューヨーク大学で美術史修士、コロンビアで美術史博士を取得。
- ピカソ研究のためにスペインへ留学。
- プラド美術館でインターン。
- レイナ・ソフィア美術館、サンフランシスコ近代美術館で勤務。
- 35歳でMoMA美術館の絵画・彫刻部門のキュレーターに就任。

え、凄すぎ…。
まさに「才女」としか言いようがありません。
スペインで夫のイーサンと出逢ったことから、英語はもちろん、スペイン語も堪能です。
作中ではニューヨークでバリバリ働くシーンや、9.11に遭遇するシーン、<ゲルニカ>を巡って単身スペインへ向かった先でのシーンもリアルに表現されています。
「ヨーコ・ヤガミ、カッコいいな」
と、勝手にあこがれを持ってしまいました。
そして<ゲルニカ>やピカソへ並々ならぬ情熱を持っている瑤子。
そんな情熱溢れる瑤子の胸の内を、ありありと表現されているのも見どころです。
ちなみに著者の原田マハさん自身も、早稲田大学で美術を学び、実際にMoMAで勤務されたという経歴をお持ちなんですね。

原田マハさんではないと、こんなにリアルに書けなかったかも。
トルティージャが美味しそう
そして最後に、食いしん坊なわたしらしい感想をご紹介します。
作中、何度か「トルティージャ」というスペイン料理が登場してきます。

トルティージャ?
トルティーヤみたいなもの?
そう思ったのですが、トルティージャは「スペイン風のオムレツ」のことだそうで。

めちゃ美味しそう!
「暗幕のゲルニカ」に出会ってこの本を読んでいなかったら、もしかしたらトルティージャのことも知らなかったかもしれません。
作中では夫のイーサンがトルティージャサンドにしてみたり、瑤子が自分で作ってみたりと何度か登場するこのトルティージャ。
暗幕のゲルニカにおいてトルティージャは、非常に重要なアイテムのひとつだと思っています。
それにしても美味しそう。
食べてみたいなあ…すっかりわたしはトルティージャに魅せられました。
材料もジャガイモ、卵、タマネギなど手に入りやすいものばかりなので、今度作ってみます。

「今度」ってさ、作らないパターンだよね。
ギクッ…
まとめ
「暗幕のゲルニカ」を読んでみました
- ピカソの<ゲルニカ>を題材とした小説
- <ゲルニカ>を始めて知ったわたしでも楽しめました!
- ドラ・マールの葛藤が痛いほど伝わってきます。
- 日本人キュレーター、ヨーコ・ヤガミがカッコいい!
- トルティージャ、とにかく美味しそう。
美術やアートにうとく、お恥ずかしながらアラフォーにして初めて<ゲルニカ>という作品を知ったわたし。
そんなわたしでも、「暗幕のゲルニカ」はとても楽しく読めました。
美術にお詳しい方なら、なおのこと楽しめるはず。
素晴らしい本に出会えて大満足です。
ぜひおススメの一冊ですよ。
この記事がどなたかのお役に立てば幸いです。
ではまた。